教員向け/オンライン投票ツールの比較

はじめに

これまで対面で実施していた会議をオンライン化する上で起こる問題の一つに、 「各種の投票をどのようにオンラインで実現するか?」というものがあります。

さまざまな会議では議論によって意思決定が行われていますが、 議題によっては参加者の投票によって意思決定を行っていると思います。 会議を電子メールを使ってオンラインで開催 (持ち回り審議) したり、 電話会議システムや Zoom 等の Web 会議システムを使ってライブで 開催したりしていると思います。

ここでは、オンライン投票について簡単に調べてわかったことをまとめています。 あくまでオンライン投票の専門家ではない、 単なる一教員の簡単な調査であることを理解した上で参考にしてください。

オンライン投票 と e-voting、i-voting

単に電子投票 (electronic voting) といえば、 従来の紙を使った投票ではなく、 電子的に投票するという手法を意味するようです。 英語名が Electronic Voting であることから、 これを略して e-voting と呼ばれています。 必ずしもネットワークを介した投票という意味ではなく、 電子機器を利用した投票という意味です。

電子投票の一部に、オンラインで (通常、 インターネットを介して) 投票するという概念も含まれており、 遠隔電子投票 (remote e-vogin)、 オンライン投票 (online voting)、 インターネット投票 (Internet voting) などと呼ばれているようです。 英語名の Internet Voting を略して i-voting とも呼ばれています。

以下の話では、オンライン投票 (i-voting) に限定します。

e-voting に求められるセキュリティ特性

電子投票システムおよびプロトコルに要求されるセキュリティ特性として、 以下の分類 [1] が有名なようです。

[1] J. Dreier, P. Lafourcade, Y. Lakhnech, ``A formal taxonomy of privacy in voting protocols, '' in Proceedings of IEEE International Conference on Communications (ICC 2012), pp. 6710-6715, 2012.

オンライン投票について考える前に、まず、オフラインでの (従来の紙を使った) 投票 の特性を確認しておきます。

○が 3 個、△が 3 個、X が 2 個です。 大した意味はありませんが、 ○、△、×をそれぞれ 2 点、 1 点、0 点として合計を計算すると 9 点です。 これを一つの基準として考えてゆきます。

関西学院の構成員が利用できるオンライン投票のツール

関西学院の構成員が利用できそうなオンライン投票のツールを リストアップしてみました。 セキュリティを考慮して、 良さそうなものからそうでないものへと並べています。

オンライン投票では、 (1) 有権者による投票 (投票)、 (2) 投票を締め切った後に、 投票結果の集計 (開票)、 (3) 集計結果を何らかの方法で開示 (公表) の 3 つのステップに分かれます。 以下では、それぞれの方法ごとに、 投票・開票・公表のどの部分を実施できそうかを書いています。

以下では、Zoom、Microsoft Forms によるオンライン投票の 実施方法 (の概要) とそれぞれの特性を考えてみます。

上記の「セキュリティ (低) 」に分類された方法も、 カジュアルな用途 (例えば講義中に受講者からのフィードバックを得る) であれば 問題なく (用途によっては非常に便利に) 使えるものもあります。 他にも、以下のような、 ユーザ登録不要で、簡単に Web 上のアンケートを作れるサービスもあります。

なお、現在はいろいろなツールやクラウド等を使えば新しいサービスを簡単に立ち 上げられますので、調べば他にもいろいろな方法があると思います。 例えば Slack の投票用のプラグイン (?) 等もあるようです。 また、少しプログラムを書けば簡単に独自のツールも作ることができます。

ここでは、関西学院の一般の構成員の方々が利用するのに適していそう という観点で Zoom、Microsoft Forms を取り上げます。

Zoom の「投票機能」による投票・集計・開票

少し前に、デスクトップ版の Zoom に投票 (polling) の機能が追加されました。 Zoom の投票機能の使い方は、 以下のドキュメントを読めばわかります。 全般的に、Zoom のユーザインターフェースはうまくできていますので、 以下のドキュメントを読むだけで一通り使えるようになると思います。

いくつか注意が必要な点を書いておきます。

Zoom の投票機能を使う場合、 (1) ホストが質問を作成する (ミーティング開始前も開始後でも可)、 (2) ホストが投票を (手動で) 開始する、 (3) 参加者が投票する、 (4) ホストが投票を (手動で) 締め切る、 (5) (必要であれば) ホストが開票結果を参加者に開示する、 (6) (必要であれば) ミーティング終了後にホストが開票結果をダウンロードする、 という流れになります。

Zoom の投票機能を使ったオンライン投票の利点・欠点は以下の通りです。 重要なものから、それほど重要ではないものの順に並べてあります。

Zoom の投票機能で「匿名」の投票をした時の特性を、 文献 [1] の分類に従ってチェックしてみます。

○が 5 個、△が 3 個、X が 0 個です。 ○、△、×をそれぞれ 2 点、 1 点、0 点として単純に合計を計算すると 13 点です。

Microsoft Forms

Microsoft Forms はもともと投票のためのものではなく、 オンラインでアンートやクイズを実施するためのサービスですが、 オンライン投票に利用することもできます。

Zoom と Microsoft Forms の違いを明確にするために、 Zoom の投票機能の説明と同じような順番で説明してゆきます。

Microsoft Forms を使って投票を実施する場合、 (1) 実施者が Microsoft Forms の投票フォームを作成する (必要に応じて回答可能期日を設定する)、 (2) 実施者が投票フォームの URL を有権者に通知する (Microsoft Forms からのメール送信も可)、 (3) 投票者が自身の Microsoft 365 アカウントでログインの上、Web ブラウザから投票する、 (4) 投票フォームに設定した期限で自動的に締め切られる (手動で締め切ることも可能)、 (5) 実施者が開票結果を参加者に通知する (電子メール等、別の手段が必要)、 という流れになります。

Microsoft Forms を使ったオンライン投票の利点・欠点は以下の通りです。 重要なものから、それほど重要ではないものの順に並べてあります。

Microsoft Forms を用いたオンライン投票の特性を、 文献 [1] の分類に従ってチェックしてみます。

○が 6 個、△が 0 個、X が 2 個です。 ○、△、×をそれぞれ 2 点、 1 点、0 点として単純に合計を計算すると 12 点です。

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Last-modified: 2020-08-28 (金) 00:36:46