#author("2020-04-11T13:59:55+09:00","","")
#author("2020-04-11T15:37:53+09:00","","")
* Teams によるビデオ会議/ライブ講義 [#z98f10c8]

** Teams とは? [#i2e3eb05]

Microsoft Teams (以下、Teams) は、Microsoft が提供している、''グループ内でのコミュニケーションや協働のためのプラットフォーム''です。2018 年にリリースされたばかりの新しいサービスです。現在、IT エンジニアを中心に広く普及しているチャットツール Slack の競合サービスと言えます。Microsoft によれば、2020 年時点で 4400 万人のユーザに利用されているとのことです。もともとビジネス用途に開発されたこともあり、以下に説明するように本学のような大規模教育機関での利用には適さない面もありますが、''強力なチャットや会話、コラボレーションの機能''を提供しています。

- [[Wikipedia: Microsoft Teams>https://en.wikipedia.org/wiki/Microsoft_Teams]]

** 3 分でわかる Teams の構成 [#ub6db6ab]

Teams には、Windows、macOS、Linux 上で単独で動作する''デスクトップ版アプリ''と、Android OS や iOS 上で単独で動作する''モバイル版のアプリ''があります。少しややこしいですが、Teams には、Web ブラウザを利用して (Web サービスとして) 動作する ''Web 版''もあります。デスクトップ版、モバイル版、Web 版で提供される機能が微妙に異なることに注意が必要です。例えば、Web 版の Teams でも、デスクトップ版やモバイル版と同様にビデオ会議は可能ですが、Web 版では多くの場合、画面の共有ができないといった制約があります。

Teams を理解する上で重要なのは以下の概念です。

- ユーザ

>Teams は有償のサービスですので、Teams を利用するためには ''Microsoft 365 のサブスクリプションサービスに加入している必要がある''ことに注意が必要です。Teams の有償のサービスに加入していない人が、以下の「チーム」に入ることは基本的にできません (管理者の設定によっては可能ですが)。Teams のサービスが利用可能な人同士でのコミュニケーションやコラボレーションで利用するのが基本です。

- チーム

>Teams において、ユーザをまとめたグループを「チーム」と呼びます。目的や用途ごとに、チームを自由に作り、それぞれのチーム内でチャットやビデオ会議を行う、という利用モデルになっています。 

- チャネル

>ユーザのグループが「チーム」ですが、''「チーム」の中に、さらにトピックごとに複数の「チャネル」を作る''ことができます。同じユーザのグループでコミュニケーションする時も、その用途に応じてチャネルを使い分けます。チャネルは、初期状態で「一般」というチャネルが作成されます。必要に応じて、「一般」以外のチャネルを作成して利用する、という形です。

- チャット

>いわゆる「チャット」です。文字ベースのショートメッセージによるコミュニケーションです。少しわかりにくいのは、チャットの単位は「チーム」ではないという点です。「チーム」のメンバ間でメッセージを交換するという機能も別途あるのですが、「チャット」では、個々の「ユーザ」を一人または複数人指定してその都度チャットします。つまり、ユーザ間でメッセージを交換する仕組みが、「チャネル」内にもあるし、「チャット」内にもある、という構造です。「チャネル」内のメッセージ交換と、「チャット」におけるメッセージ交換がそっくりだけど実は異なるものなので非常にわかりづらくなっています。チャネルはスレッド形式、チャットは非スレッド形式で、二つは似ていますが違うものです。

- 音声通話、ビデオ会議

>チャネル内のメッセージもチャットもテキストメッセージですが、メッセージ交換できるユーザ間での音声通話やビデオ会議が可能 (''一対一でも、複数人間でも可'') です。音声通話は IP 電話、ビデオ会議も IP (インターネット) を利用しますので、インターネットに接続していれば別途通信費用も発生しません。Teams の契約プランによっては公衆回線を使って音声通話もできるようです (関西学院の契約では不可)。

>Teams における一般的なワークフローは、目的ごとにユーザのグループである「チーム」を作り、用途ごとにチーム内に「チャネル」を作り、普段はメッセージを交換して情報交換を行う。凝った話をしたい時は、一対一もしくは多人数での音声通話やビデオ会議を行う。ちょっとした話がある時は「チャット」で気軽にメッセージを送る、というものです。 

** 関西学院における Teams 利用 [#r74c2960]

Teams は大変優秀なサービスですが、本学のような大規模研究機関には、そのまま利用するにはいくつかの (重大な) 問題があります。Teams は、''もともと数十〜数百人くらいの規模の企業での利用を想定している''ようです。Teams では、基本的に誰もが「グループ」を自由に作れます。グループを作るために、組織内のメンバを名前(の一部)やメールアドレス等を利用して簡単に探せるようになっています。このため、本学で Teams をそのまま、何も制限をかけずに使うと、「ある教員が、全学生を自由に検索して、しかも個別に (プライベートに) 電話をかけたりメッセージを送る」といったことができてしまいます。Teams が強力すぎて、組織のメンバのプライバシーや個人情報が簡単に見えてしまう、ということです。

以上の理由により、本学では Teams を利用可としていますが、(構成員の方々のプライバシを保護するために) ''きわめて制限が強い状態で運用しています''。「教職員のみが、Teams のごく一部の機能 (音声通話やビデオ会議) が限定的に利用できるだけ」と理解してください。世界中に公開されている、「Teams の便利な使い方」のガイド等をご覧になっても、その大部分は利用できない (プライバシ保護のため意図的に制限している) と思っていただくのが良いと思います。

以下では、本学での利用を想定している「ビデオ会議」のみについて説明します。

** Teams における音声・ビデオのテスト [#r10263cf]

Teams では、「今すぐ会議」を押すと、すぐにビデオ会議が開始します。余計なトラブルを避けるためにも、いきなりビデオ会議に参加するのではなく、''必ず事前に''、マイク、スピーカー、カメラが正常に動作しているかを確認してから会議に参加するようにしましょう。

Teams では接続テストの機能が非常にわかりにくいところに隠れています。アプリ版では、''右上の自身の名前のアイコンをクリックし、「設定」→「デバイス」→「テスト通話を開始」''をクリックします。Skype の接続テストと同じような接続テストのセッションが開始します。Web 版ではテスト通話の機能が見当りません。OS 側のオーディオ・ビデオの設定で確認しないといけないのかもしれません。

** Teams のビデオ会議 [#oe4f6689]

Teams 自体が比較的後発のサービスであることから、Teams のビデオ会議は十分利用に耐えるサービスになっています。少し試用しただけ (あとは Web 上の資料を調査しただけ) の判断ですが、Teams のビデオ会議の利点・欠点は以下のような感じだと思います。

- 利点
-- (本学の教職員であれば) 無償で利用できる
-- 多地点間でのビデオ会議ができる (多地点可能なものは大抵有償サービスです)
-- 複数のプラットフォーム (デスクトップパソコン (Windows/macOS/Linux)、タブレットPC・スマートフォン (Android OS/iOS)) で利用できる
-- デスクトップ版やモバイル版をインストールしなくても Web 版で大部分の機能は利用できる
-- 画面共有、リモート制御、共有ホワイトボード、自動キャプション付与(英語のみ)など、先端的な機能が使える (Zoom には共有ホワイトボード、自動キャプション付与はない)
-- 250 地点まで接続できる (らしい)
- 欠点
-- ''会議の主催者・参加者というロールモデルを採用していない'' (参加者は基本的に平等で、誰でも何でもできる。例えば、画面共有の開始や、他人の音声のミュートを''全員が勝手にできてしまう''。)
-- 基本的に Teams のサービスが利用可能な人同士で使うものである (設定によってはゲスト参加も可)
-- 多地点間で接続可能だが、''最大 4 人 (自分を含めると 5 人) までしか表示されない''
-- Zoom にあるような''大規模会議向けの機能がない'' (挙手の機能、個別の音声ミュート/解除、多数の参加者の同時表示)

いわゆる「普通の」ビデオ会議システムでできることはすべてできます (Zoom にある大規模会議向けの機能のみ不足している) ので、接続地点数が少ないような状況であればまったく問題なく利用できます。''5〜10 人くらいの会議での利用が最も適している''という印象です。ただ、数十地点を超えるような規模の大きい会議には向いていません (もともとそういう用途向けに作られていないのだと思います)。

** Teams を用いたビデオ会議の開催 [#g4185481]

前述のように、関西学院の Teams は意図的に強い制限をかけていますので、一般的な Teams のガイドにあるような方法ではビデオ会議を開始できません。少しトリッキーですが、

+ 会議主催者が「空の」チームを作成する
+ チーム上で「ビデオ会議」を作成する
+ 作成した「ビデオ会議」のリンクを参加者に配布し、リンクを介してビデオ会議に参加してもらう (ビデオ会議に参加するだけなら Teams のユーザである必要はない)

という流れになります。具体的な手順については以下のマニュアルを見てください。

- [[Teams & OneDrive 簡易マニュアル ※学内限定>https://kwanseio365.sharepoint.com/:f:/s/2020/Epz9wnbChh1MsyXXMkFG490B9P7JEbV2ueg2TB2MCuRNOg]]

一般的な Teams の使い方とは異なりますので、(1) 「予定表」が正常に機能しない (「メールボックスが見つかりません。システム管理者にお問い合わせください」と''エラーが表示される'')、(2) 新しい会議を作成する時に選択する「チャネル」は別に何でもいい (どれを選択しても意味がない)、(3) 新しい会議を作成する時に「送信」すると (1) と同じ''エラーになる'' (が、ビデオ会議の開催通知が自身のメールアドレスに送信されている)、という''直感に反する挙動をしますので、最初は戸惑うと思います''。上記の簡易マニュアルを確認しながら試してみてください。

** Teams を用いたライブ講義の開催 [#b4bc031a]

ビデオ会議もライブ講義も基本的には同じです。前述の通り、Teams のビデオ会議は少人数での利用に適しています。参加者が 10〜20 人程度までの少人数クラスであれば問題なく使用できると思われます。一方、主催者/参加者の役割が分かれていないので、よくわからずに誤って操作をする受講者や、意図的にライブ講義を邪魔しようとする受講者がいれば、''簡単にライブ講義を邪魔できてしま う'' (講師の映像を中断させたり、講師や他の参加者の音声をミュートできたりする) ので注意してください。

** Teams と Zoom の比較 [#s4873c14]

全体的に Teams より Zoom のほうが一歩先を行っているという感触ですが、以下は Teams にしかできないと思われます。

- 100 地点を超える多地点接続 (Zoom だと通常の licensed プランだと 100 地点まで。1000 地点までの(より高額な)有償プランもあることはある。)
- 共有ホワイトボードに、参加者らが同時に書き込んで議論する (Zoom にもホワイトボードはあるが送信者しか書き込めない (?))
- デスクトップのリモート制御で、''複数人の参加者が同時に''誰かのデスクトップを操作する (Zoom もリモート制御できるか複数人操作は無理 (?))
- 背景画像に「ぼかし」をかけて見えなくする (Zoom には仮想背景があるが、ほぼ単一色の背景でなければ機能しない)
- 自動キャプション付与で、英語の字幕がほぼリアルタイムにつく (外国人とのビデオ会議にすごく便利そう。Zoom はサードパーティーのキャプションサービスを呼び出す機能があるだけ (別途キャプション付与サービスを探して契約&設定しないといけない))

機能面で言えば、

- 1. 少人数の、緊密なメンバ (デスクトップをリモート制御させていいくらい信用できるメンバ) とのミーティング
- 2. 100 人を超える大規模会議だが、基本的に音声を一方行に配信するような会議 (相互の議論はほとんどなく、多数の参加者は信頼できる (いたずら/邪魔するような人はいない))

のような用途であれば Teams のほうが優れているかもしれません。教員→多数の学生、という形式のライブ講義は上記の 2. に近いですが、学生がいたずらで変な画像を勝手に送信したり、全参加者の音声を勝手にミュートする等ができてしまいますので、やはり Teams は大規模講義には向いていないと思われます。

** コメント [#n2d44787]
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