DTEN D7 55インチ 試用レポート (2020/11/19)

DTEN D7 とは

DTEN 社が販売している、 Zoom Room 用の専用端末 (LCD ディスプレイ一体型 Zoom クライアント)。 国内での販売価格は 50 万程度と思われる。

テスト時期は 2020 年 11 月中旬、 DTEN のファームウェアは 1.5.0 前後だと思われる (が未確認)。 以下に記載した不具合等の大部分はソフトウェアの改修によって改善が可能であることに注意する。 DTEN の新しいファームウェアで改善/変更されるかもしれない (し、改善されることを期待してレポートを書いている)。

設置 ★★★

55 インチの液晶ディスプレイの背面に本体 (Windows IoT) が固定されている (外部から取り外すことはできない)。 本体は軽いが、サイズが大きいため設定には複数人が必要。

Zoom 管理者ポータルから Zoom Room を作成して、 作成した Room のアクティベーションコードを入力するだけで良い。

ネットワーク ★★★

Gigabit Ethernet で接続し DHCP で IP アドレスを取得する。 802.11 (Wi-Fi) も搭載しているため無線での利用も可能。 Wi-Fi 利用時は本体にアンテナを接続する。 ただし Wi-Fi での利用は推奨されていない。

Gigabit Ethernet 接続した場合のネットワーク情報 (MAC アドレスや DHCP のリース 情報) を見ようと思ったが、 DTEN からは確認できないよう。 Windows IoT に切り替えてサインインすれば見られるようだが、 Windows IoT のアカウント情報が不明なため未確認。

管理 ★★

本体の管理は Zoom 管理者ポータルから行う。 DTEN D7 のファームウェアアップデート等も Zoom 管理者ポータルから行うよう。

Windows IoT であるのがセキュリティ上問題となる可能性あり。 DTEN の FAQ にも「 Windows IoT だけどセキュリティは大丈夫」とは言っていない。 「セキュリティパッチは手動で適用しないといけない」、 「 Windows IoT にファイアウォールやアンチウィルスが必要かは管理者に相談せよ」 との記載がある。

音声 (マイク) ★★

ディスプレイ上部の 16 マイクアレイで集音している。 音質は (以下に記載する問題を除いて) かなり良い。 ミーティング参加者がディスプレイの方向を向いているため、 ディスプレイ上部のマイクで集音が有利なのと思われる。 DTEN 本体から 5 〜 10m ほど離れても (部屋が静かであれば) うまく集音できる。 部屋の残響をそれほど拾わない。

ただし、DSP による音声処理に改善の余地あり。 発話の切れ目 (声が途切れる時、 声がフェードアウトする時) でゲートでノイズサプレッサーをかけていると思われ、 その処理が不自然であるため発話の切れ目が聞き取りづらい。 DSP を ON にして使うとかなりストレスを感じる。

DTEN 側の設定で DSP を OFF にできるが、 そうするとノイズサプレッサーだけでなくエコーキャンセラーも OFF になるようで、 遠隔の Zoom 参加者の声がエコーされる (エコーキャンセルできなくなる)。 なので DSP を OFF にして使うこともできない。

USB 接続型の USB オーディオデバイスを接続すれば、 DTEN 本体以外のマイクも使用できる。 DTEN のセットアップ画面でマイクデバイスを切り替えられる。 Yamaha YVC-1000 を接続してテストしたが、 DTEN のマイクのほうがかなり音声は良好なので YVC-1000 のマイクを使う 必要はない (複雑な PA を組むなら別だが)。

音声 (スピーカー) ★

スピーカーがディスプレイ背面にあり、 スピーカーのサイズもしくはアンプの出力 (もしくは両方) が貧弱なためか音が 非常に小さい。 ボリュームを最大にしても、 部屋内に 10 人くらいいれば聞きとれないのではないか。

USB 接続型の USB オーディオデバイスを接続すれば、 DTEN 本体以外のスピーカーも使用できる。 DTEN のセットアップ画面でスピーカーデバイスを切り替えられる。 Yamaha YVC-1000 を接続してテストしたが、 DTEN のボリュームが非常に小さいこともあり、 YVC-1000 のスピーカーを使うと大幅に改善される。

カメラ ★★★

ディスプレイ上部の 4K カメラで撮影。 Intelligent Zoom と呼ばれる自動フレーミング機能が実装されている。 カメラの 4K 映像から、 おそらく画像認識で移動物体を検出し、 移動物体を含めるようにフレームを自動的に変更してくれる (4K 画像から 移動物体のある箇所を切り出していると思われる)。 あるとかなり便利な機能で、 それなりにうまくフレームを決めてくれる。 ただし、参加者が動いたり動かなくなったりする度に頻繁にフレームが変更される (拡大、縮小をずっと何度も繰り返しているような状態) ためずっと見ていると 不快かもしれない。

USB 接続型の UVC カメラデバイスを接続すれば、 DTEN 本体以外のカメラも使用できる。 一般の UVC カメラ (Web カメラ) よりも DTEN のカメラのほうが品質が良いので、 参加者を写すのであれば内蔵カメラで十分。 後述のように、資料共有のため、 USB 接続の (UVC カメラとして認識される) 書画カメラ等を接続すると 良いかもしれない。 ただし、カメラの切り替えはワンタッチではできない (セットアップ画面に入って、 ディスプレイへのタッチ操作で切り替える必要がある)。

ディスプレイ映像 ★★

Windows 版 Zoom クライアントのビデオそのままなので普通のクオリティ。 ただし、55 インチの液晶ディスプレイ側で画像の彩度やコントラストを高めている (いわゆるスタンダードモードではなくダイナミックモードになっている?) ためか、 全体的に派手で、場合によっては色飛びしたような映像になる。 液晶ディスプレイの詳細設定で調整できそうだが設定方法は (できるかどうかも 含めて) 不明。

画面共有 ★★

Zoom Room の標準的な画面共有機能が実装されている。 Zoom クライアントアプリに接続コードを入力するか、 share.zoom.us に Web ブラウザで接続してミーティング ID 等の情報を入力する、 かどちらかの方法を使う。 share.zoom.us にアクセスする方式は、 結局、PC 上の Zoom クライアントが起動して画面共有を開始するという単純な仕組み。

DTEN 自体は PC やネットワークに詳しくな人をターゲットにした製品だと思われるが、 画面共有をしようと思うと Zoom クライアントやネットワークのことをある 程度わかっていないと利用できない。 つまり、(1) Zoom クライアントアプリがインストールされ、 ネットワークに接続された状態のタブレット等を持っているか、 (2) Zoom クライアントアプリがインストールされ、 ネットワークに接続された状態の PC 等を持っている、 のどちらかでないと画面共有ができない。

HDMI 等の外部入力は利用できないよう (DTEN 自体に HDMI 入力はあるが、 単にディスプレイの外部入力になっており、 外部 HDMI 入力を選択すると DTEN の画面は表示されない)。

DTEN のカメラは上部に固定のため、 部屋内のホワイトボードにカメラを向けてホワイトボードの映像を共有するとか、 紙の資料を投影して紙の資料を共有する等の使い方ができない。

その他

コメント


アクセス数: 現在: 1, 今日: 1, 合計: 1363

Last-modified: 2020-11-19 (木) 10:05:53