#author("2020-07-04T13:01:53+09:00","default:editor","editor")
* 教員向け/オンライン投票ツールの比較 [#n5a5c038]

** はじめに [#j387de11]

これまで対面で実施していた会議をオンライン化する上で起こる問題の一つに、
「各種の投票をどのようにオンラインで実現するか?」というものがあります。

さまざまな会議では議論によって意思決定が行われていますが、
議題によっては参加者の投票によって意思決定を行っていると思います。
会議を電子メールを使ってオンラインで開催 (持ち回り審議) したり、
電話会議システムや Zoom 等の Web 会議システムを使ってライブで
開催したりしていると思います。

ここでは、オンライン投票について簡単に調べてわかったことをまとめています。
あくまでオンライン投票の専門家ではない、
単なる一教員の簡単な調査であることを理解した上で参考にしてください。

** オンライン投票 と e-voting、i-voting [#v2239b0a]

単に電子投票 (electronic voting) といえば、
従来の紙を使った投票ではなく、
電子的に投票するという手法を意味するようです。
英語名が Electronic Voting であることから、
これを略して e-voting と呼ばれています。
必ずしもネットワークを介した投票という意味ではなく、
電子機器を利用した投票、
という意味です。

電子投票の一部に、オンラインで (通常、
インターネットを介して) 投票するという概念も含まれており、
遠隔電子投票 (remote e-vogin)、
オンライン投票 (online voting)、
インターネット投票 (Internet voting) などと呼ばれているようです。
英語名の Internet Voting を略して、
i-voting とも呼ばれています。

以下の話では、オンライン投票 (i-voting) に限定します。

** e-voting に求められるセキュリティ特性 [#dbad6a09]

電子投票システムおよびプロトコルに要求されるセキュリティ特性として、
以下 [1] が有名なようです。

- Eligibility

>登録された投票者だけが投票でき、
誰も許可された回数 (通常 1 回) を超えて投票できない

- Fairness

>他の投票者の決定に影響を与えかねない途中結果が開示されない

- Robustness

>不正を働く、ある一定数の投票者に耐えられるプロトコルである

- Verifiability

-- Individual Verifiability

>各投票者が、自身の票が正しく集計されたことを確認できる

-- Universal Verifiability

>公表された結果がすべての票の合計と一致していることを誰でも確認できる

- Vote-Privacy

>票が非公開であり続ける。
投票者と票の対応付けができないこととしてもモデル化できる。

- Receipt-Freeness

>投票者が (ある特定の候補者に投票したことを第三者に証明できるような) 
「レシート」を構築できない。
票の買収を防ぐため。

- Coercion-Resistance

>投票の全過程において投票者が (投票行動の) 強制者とやりとりしたとしても、
強制者が投票者 (被強制者) が指示に従ったか、
または実際に他の候補者に投票したかわからない。

  [1] J. Dreier, P. Lafourcade, Y. Lakhnech, ``A formal taxonomy of privacy in
  voting protocols, '' in Proceedings of IEEE International Conference on
  Communications (ICC 2012), pp. 6710-6715, 2012.

** 関西学院の構成員が利用できるオンライン投票のツール [#zeabbb0d]

関西学院の構成員が利用できそうなオンライン投票のツールを
リストアップしてみました。
セキュリティを考慮して、
良さそうなものからそうでないものへと並べています。

- セキュリティ (高)
-- Zoom の「投票機能」による投票・集計・開票
-- Qualtrics のフォームによる投票・集計・開票 (?)

- セキュリティ (中)
-- 独自に開発した投票システムを
-- Microsoft Forms のフォームによる投票・集計・開票
-- Google Forms のフォームによる投票・集計・開票

- セキュリティ (低)
-- 電子メールによる投票・開票
-- Zoom のプライベートチャットによる投票
-- Microsoft Teams のチャットによる投票
-- Slack のようなコミュニケーションツールによる投票・開票
-- Excel オンラインへの同時書き込みによる投票・開票

以下では、Zoom、Qualitics、
Microsoft Forms によるオンライン投票の実施方法 (の概要) とそれぞれの特性を
考えてみます。

なお、現在はいろいろなツールやクラウド等を使えば新しいサービスを簡単に立ち
上げられますので、調べば他にもいろいろな方法があると思います。
例えば Slack の投票用のプラグイン (?) 等もあるようです。
また、少しプログラムを書けば簡単に独自のツールも作ることができます。
ここでは、関西学院の一般の構成員の方々に向いていそう、
という観点で Zoom、Qualitics、
Microsoft Forms を取り上げています。

- [[外部リンク: The Best 10 Free and Open Source Voting Software Solutions>https://www.goodfirms.co/blog/best-free-open-source-voting-software-solutions]]
- [[外部リンク: Open source poll for slack>https://openpoll.slack.alcor.space/]]

上記の「セキュリティ (低) 」に分類された方法も、
カジュアルな用途 (例えば講義中に受講者からのフィードバックを得る) であれば
問題なく (用途によっては非常に便利に) 使えるものもあります。
他にも、以下のような、
ユーザ登録不要で、簡単に Web 上のアンケートを作れるサービスもあります。

- [[www.poll-maker.com>https://www.poll-maker.com/]]
- [[fast-poll.com>https://fast-poll.com/]]

** Zoom の「投票機能」による投票・集計・開票 [#cd9135aa]



スケジュールしていたミーティングのみ
オリジナルのホストのみ

匿名にする (投票レポートでも匿名)
  単一選択、複数選択

アプリ版のクライアント

選択肢10 まで

PMID のインスタントミーティング

ホストには投票中の状況が見える

参加者には投票率しか見えない

一つの選択肢、複数選択肢
投票数は 25 まで


Qualtrics を使えば、以下のようになりそうです。○ 5、△ 2、× 2 です。

○ Eligibility 登録された投票者だけが投票できる
○ Fairness 中間結果が見えない
○ Robustness 一定数の悪意ある投票者に対して堅牢である
○ Integrity 正確性・一貫性が確実である
Verifiability 以下の 2 つの性質
  × Individual Verifiability 各投票者が自身の票が正しく計数されていることを確認できる
    → 投票管理者しか確認できない?
  × Universal Verifiability 投票結果が票の合計と一致していることを誰でも確認できる
    → 投票管理者しか確認できない?
△ Vote-Privacy 票がプライベートな状態に保たれる (投票者と票の対応付けができない)
    → 投票管理者は知ることができる
△ Receipt-Freeness 投票者が投票結果の「レシート」を得られない (誰かに投票した証明を残せない)
    → 画面のスクリーンショットを残せる?
○ Coercion-Resistance (投票行動の) 強制者が、投票者(被強制者)が指示通りの投票をしたかわからない

従来の紙での投票だと以下のようなのかと思います。○ 4、△ 3、× 2 です。

△ Eligibility 登録された投票者だけが投票できる
  → 投票用紙の複製に対して脆弱、悪意があれば回収中に一部の票を破棄するのは難しくない
○ Fairness 中間結果が見えない
○ Robustness 一定数の悪意ある投票者に対して堅牢である
△ Integrity 正確性・一貫性が確実である
  → 集計者が手作業で計数している
Verifiability 以下の 2 つの性質
  × Individual Verifiability 各投票者が自身の票が正しく計数されていることを確認できる
    → 一部の票が途中で廃棄されても検出できない
  × Universal Verifiability 投票結果が票の合計と一致していることを誰でも確認できる
    → 投票用紙を並べれば確認できないことはない? 事実上、投票管理者しか確認できない?
○ Vote-Privacy 票がプライベートな状態に保たれる (投票者と票の対応付けができない)
    → 筆跡である程度の推測は可能?
△ Receipt-Freeness 投票者が投票結果の「レシート」を得られない (誰かに投票した証明を残せない)
    → 記入した投票用紙をスマホで写真取ればよい
○ Coercion-Resistance (投票行動の) 強制者が、投票者(被強制者)が指示通りの投票をしたかわからない


** コメント [#p184b0b2]

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