#author("2020-12-08T13:26:49+09:00","default:editor","editor") #author("2020-12-08T13:27:35+09:00","default:editor","editor") * Neat Bar 試用レポート (2020/12/07) [#k2561ae0] ** Neat Bar とは [#g1c0515d] ノルウェーに本社を置く neat 社が販売している、 Zoom Room 用の専用端末 (カメラ + スピーカー + マイク一体型)。 国内での販売価格は 25〜30 万程度と思われる。 - [[Neat Bar>https://neat.no/bar/]] テスト時期は 2020 年 11 月中旬、 Neat Bar のファームウェアは試用時点の最新版 (メインリリース、July 16, 2020 だと思われるが未確認)。 // 以下に記載した不具合等の大部分はソフトウェアの改修によって改善が可能であることに注意する。 // Neat Bar の新しいファームウェアで改善/変更されるかもしれない // (し、改善されることを期待してレポートを書いている)。 ** 設置 ★★★ [#kded81f2] 横長で、カメラ、スピーカー、マイクが一体となっている。 ケーブルの接続端子は背面中央に固まっている。 操作用の端末 (Neat Pad) は別売となっている。 Neat Pad 自体は Android OS (Neat OS) 搭載の 8 インチタブレット。 専用端末なので普通の Android OS タブレットとしては使用できなない。 Neat Bar 本体の重量は 1.7 kg と軽く、片手で持ち運びできる程度の重さ。 HDMI 接続のディスプレイとセットで使用する。 - [[Specifications>https://neat.no/bar/?specifications]] Neat Bar に限らず、こういったディスプレイとセットで使用する Web 会議デバイスは設置が難しい。 ディスプレイ上部に設定することも、ディスプレイ下部に設定することもできるが、 ディスプレイが設置されている高さ、部屋内の会議参加者の顔の高さ等にあわせて、 上部が良いか下部が良いかが決まる。 VESA マウント対応の HDMI ディスプレイであれば、 VESA マウントを利用してディスプレイ上部にキレイに固定できる。 ただし、私が使用した HDMI ディスプレイはディスプレイアームに 接続されていたため VESA マウントが使用できず、 Neat Bar 同梱のフレームは使用せず。 Neat Bar の一つのウリは、 Neat Bar 固定用のフレームや金具が一式パッケージに含まれていることのよう。 ディスプレイ下部に、 机上設置用のベースフレームを利用して設定した。 会議中に Neat Bar 本体を動かしてカメラの画角を調整できる (ホワイトボードを 写すために移動させる等) ので、 これはこれで悪くない。 Neat Pad と Neat Bar はイーサネットケーブルで接続し、 Neat Pad 自体はイーサネットケーブルから給電されるのでケーブルは一本で良い。 Zoom 管理者ポータルから Zoom Room を作成して、 作成した Room のアクティベーションコードを入力するだけで良い。 ** ネットワーク ★★★ [#p2fcc139] Gigabit Ethernet で接続し DHCP で IP アドレスを取得する。 Neat Bar、Neat Pad それぞれ別々の IP アドレスが必要。 Neat Bar も Neat Pad も、 それぞれが Android ベースの OS が動作していると思われる。 802.11 (Wi-Fi) も搭載しているため無線での利用も不可能ではない。 ただし Wi-Fi での利用は推奨されていないよう。 また、Wi-Fi での接続は後から追加された機能のため大変面倒。 いったん有線で Neat Bar と Neat Pad の設定を済ませてから、 Neat Pad を操作して Neat Bar と Neat Pad のネットワーク接続を無線に切り替える 必要がある。 ESSID や WPA キーが変更になる度に、 いったん有線で接続して (Neat Pad および Neat Bar の初期化ボタン長押しして?) 再セットアップしなければならない。 無線に何かトラブルがあったらもうお手上げというシステム。 >古いファームウェアでは上記の通りだが、 July 16, 2020 版では有線のセットアップが不要 (最小から Wi-Fi に接続できる) のように改良されているとのこと。 試用機のファームウェアが古かったと思われる。 Gigabit Ethernet 接続した場合のネットワーク情報 (MAC アドレスや DHCP のリース 情報) は Neat Pad から確認できる。 Neat Pad や Net Bar に試しにポートスキャンをかけてみたが、 ほとんどのポートは閉じられていた (と記憶している)。 ** 管理 ★★ [#j9e4a049] ** 管理 ★★★ [#j9e4a049] 本体の管理は Zoom 管理者ポータルから行う。 Neat Bar のファームウェアアップデート等も Zoom 管理者ポータルから行えるよう。 Neat Bar のファームウェアは自動アップデート可能であり、 通常は Zoom Room の管理者が管理画面であれこれしなくても大丈夫そう。 ただし、何も問題なく動作していればよいかが、 例えば「 Neat Bar が突然動しなくなった」という時に、 どの程度管理者が対応できるかは不明。 Neat Bar の動作状況 (特に、 Android OS のステータス等) を監視する手段がなさそうに見える。 現実的には、「リセットしてみてください」、 「それでもダメなら他の部屋を使ってください」のような運用になりそう。 Neat Bar は背面に USB Type-C のポートがあり、 ドキュメントには「テスト用」と書かれている。 主に保守の時に使うもののと想像するが、 そうであれば Type-C のポートに接続してイタズラできそうな気がする (が今回は 未検証)。 ** 音声 (マイク) ★★ [#mb6f3e9c] ** 音声 (マイク) ★★★ [#mb6f3e9c] 本体内蔵の 5 台のマイクアレイで集音している。 音質は非常に良い。 ミーティング参加者がディスプレイの方向を向いているため、 Neat Bar 本体での集音も有利に働いていると思われる。 Neat Bar 本体から 5 〜 10m ほど離れても (部屋が静かであれば) うまく集音できる。 部屋の残響をそれほど拾わない。 Neat Bar の FAQ によれば、Neat Bar は 5 m までの集音に最適化されている、とのこと。 DSP による音声処理も非常に良好。 ファームウェアの更新履歴を見ても、 ソフトウェアによる音声処理に力を入れてアップデートが繰り返されているよう。 どういった原理やアルゴリズムで音声処理をしているかは使っていても推測できないが、 マイクアレイによるビームフォーミングやソフトウェアによる音声処理が効果的に機能している。 これまで、ヤマハの YVC-1000、 YVC-300、PJP-10, PJP-20, PJP-25, Polycom Communicator、 Jabra GN、eMeet M1、 ゼンハイザー SP 20 ML など、 さまざまな Web 会議用スピーカーをテストしたが、 これらよりも Neat Bar のほうが音声が自然であった。 Neat Bar と互角に勝負できそうなのは、 (私が使用したことがある中では) Cisco の Room Kit くらいに思える。 Neat Bar は「何でもできる」というコンセプトの機材ではなく、 うまく機能を絞って、その絞った機能に焦点を当てて開発リソースを投入していると思われる。 これ自体は良いことと思われる。 その反面、例えば、外付けの USB オーディオデバイスは接続できない (USB Type-C で接続自体は可能だが Neat Bar から認識されない)。 Neat Bar は Android OS なので、 USB オーディオクラスのデバイスを認識することは技術的に簡単だと思われるが、 少なくとも現状のファームウェアでは対応していない。 Neat Bar のマイクロフォンは優秀であるため、 ほとんどの場合、外付けの USB オーディオデバイスは必要ない。 ただし、部屋に PA の設備があって、 部屋の PA と Neat Bar の音声を一体化させたいといった要望には応えられない。 従って、PA が必要となるような、 ある程度の広さの教室・会議室には、 Neat Bar を設置して使うのは難しい。 >伺った話では、Neat Bar のロードマップでは、 外部の PA との何らかの連携も予定されているよう。 Neat Pad 前面のマイク (現在は無効化されている) もファームウェアの バージョンアップで使えるようになるそう。 ** 音声 (スピーカー) ★ [#ua14f51d] ** 音声 (スピーカー) ★★★ [#ua14f51d] スピーカーは本体前面にあり、 スピーカーの出力も十分である。 音量レベルの変更は Neat Pad 上のスライドバーを操作する。 このスライドバーのボリューム変化が通常の対数カーブではないようで、 非常に使いやすい。 一般のスライドバーは、 スライドバーの長さの割に、 実用的に使える範囲が限られていて操作しずらい (例えば、 実用上は 40 〜 60% くらいしか意味がない、 〜 40% や 60% 〜は実用的に使いものにならない (ボリューム小さすぎる or 大きすぎる))。 Neat Bar のスライドバーはスライドバー全体が実用的な操作範囲になるような 調整がされている。 Neat Bar 設計者のこだわりを感じる。 マイクロフォンと同様に、 外付けの USB オーディオデバイスは接続できない (USB Type-C で接続自体は 可能だが Neat Bar から認識されない)。 Neat Bar 自体がもともと小規模な部屋向けなのでこれはこれで問題ないが、 やはりある程度の広さの教室・会議室に Neat Bar を設置して使うのは難しい。 ** カメラ ★★★ [#k9c76d88] 本体中央部の 4K カメラで撮影。 automatic people framing と呼ばれる自動フレーミング機能が実装されている。 カメラの 4K 映像から、 おそらくセンサマイク (仕様には 3 sensor mics と記載がある) で反射音から 部屋内の物体を検出し、 検出した物体を含めるようにフレームを自動的に変更してくれる (4K 画像から 物体のある箇所を切り出している)。 自動フレーミングも、 断続的に切り替わるのではなく、 スムーズに段階的に変化してゆく。 あるとかなり便利な機能で、 それなりにうまくフレームを決めてくれる。 内蔵カメラの品質も良好で、Web 会議であれば十分なクオリティだと思われる。 ただし、Cisco Room Kit と比較すると、カメラ映像の鮮明さはもう一歩。 コントラストやブライトネスなどの映像フィルタの問題ではなく、 そもそものレンズかもしくは CCD の違いによる差のように思われる (あくまで予想だが)。 ホワイトボードや黒板の前で、 講師が板書しながら説明する様子を収録するような場合に有効と思われる (実際の 効果は未検証)。 USB オーディオデバイスと同じく、 USB 接続型の UVC カメラデバイスを接続しても Neat Bar からは認識されない。 一般の UVC カメラ (Web カメラ) よりも Neat Bar のカメラのほうが品質が良いので、 参加者を写すのであれば内蔵カメラで十分。 ただし、資料共有のため、 USB 接続の (UVC カメラとして認識される) 書画カメラ等が接続できると 便利かもしれない。 ** ディスプレイ映像 ★★ [#c11699cb] ** ディスプレイ映像 ★★★ [#c11699cb] HDMI 接続のディスプレイに投影される。 画面の解像度は 1920 x 1080。 ビデオのフレームレートは仕様によれば 30 フレーム/秒とのこと。 HDMI オーディオは使用していない (使用できない) と思われる。 スピーカー出力を HDMI オーディオにもルーティングできると便利かもしれない。 ** 画面共有 ★★ [#b3e5a2a0] ** 画面共有 ★★★ [#b3e5a2a0] Zoom Room の標準的な画面共有機能が実装されている。 Zoom クライアントアプリに接続コードを入力するか、 share.zoom.us に Web ブラウザで接続してミーティング ID 等の情報を入力する、 かどちらかの方法を使う。 share.zoom.us にアクセスする方式は、 結局、PC 上の Zoom クライアントが起動して画面共有を開始するという単純な仕組み。 Neat Bar 自体は PC やネットワークに詳しくな人をターゲットにした製品だと 思われるが、Zoom Room の標準機能を使って画面共有をしようと思うと、 Zoom クライアントやネットワークのことをある程度わかっていないと利用できない。 つまり、(1) Zoom クライアントアプリがインストールされ、 ネットワークに接続された状態のタブレット等を持っているか、 (2) Zoom クライアントアプリがインストールされ、 ネットワークに接続された状態の PC 等を持っている、 のどちらかでないと画面共有ができない。 ただし、素晴しいことに Neat Bar には HDMI の外部入力があり、 これを画面共有に利用できる。 HDMI 外部入力に PC 等を接続すると、 PC 側で HDMI 出力を有効にするだけで、 HDMI からの外部入力映像が Zoom 上で画面共有される。 Neat Pad から別途追加操作を行う必要もなく、 大変簡便に画面共有ができる。 PC から HDMI ケーブルを取り外すか、 PC から HDMI への外部出力を無効にすれば、 自動的に Zoom の画面共有が停止する、 という素晴しい機能である。 前述の書画カメラも、 HDMI 接続型の書画カメラを用意すれば良いかもしれない。 ただし、書画カメラの電源を投入した瞬間に Zoom の画面共有が 開始されてしまうかもしれない (詳細は未確認)。 HDMI のスイッチャーを使えば、 PC の画面共有も併用できて便利かもしれない (やはり詳細は未確認)。 Neat Bar のカメラは本体中央部に固定のため、 部屋内のホワイトボードにカメラを向けてホワイトボードの映像を共有するとか、 紙の資料を投影して紙の資料を共有する等の使い方ができない。 Neat Bar のカメラ部分が引き出せて、 裏からケーブルが伸びてきて、 さらにカメラの下部に三脚固定用のネジが付いていたりすると便利かもしれない。 が、これは Neat Bar のコンセプトからはずれているという気がする。 ** その他 [#y47c10a1] - 新しいファームウェアでは、 USB Type-C ポートに HID 対応のタッチパネルを接続できるよう。 これにより、画面共有時に、 タッチパネルによる書込み (アノテーション) ができるよう (ただし環境が 用意できなかったため未検証)。 タッチ対応の HDMI ディスプレイが用意できれば非常に快適に利用できる 可能性がある。 なお、Zoom ミーティングのホスト側の設定でアノテーションを有効にしておく 必要があることに注意。 - Neat Bar 固有の問題ではないが、 Zoom Room で参加するとミーティングのホストになれてしまう (?)。 ミーティングのセキュリティ上問題 (いたずらができてしまう仕様である) のような 気がする。 - Neat Bar のコンセプトはしっかりしていて、 これはこれで完結した良い製品だと思う。 Neat Bar のコンセプトには反すると思うが、 Neat シリーズの API や SDK が公開されていて、 API や SDK であれこれ操作できるとさらに製品の可能性が広がるという気もする。 - 上と同じく、これも Neat Bar のコンセプトに反すると思われるが、 Neat Bar が、単体の Web 会議デバイスとして使えれば良いのに、 と思う。 つまり、Neat Bar が、 汎用の USB 接続型カメラ + スピーカー + マイクロフォンとして使えれば最高だと思う。 一般の、ちょっとリッチなユーザが、 快適な Web 会議環境を実現するために (Zoom で使うか、 Webex で使うか、Teams で使うかはユーザ任せで) 買って使う、 というのが理想形の気がする。 Zoom Room は個人所有する端末には向かない気がする。 >伺ったところでは、 Neat Bar のロードマップで、 USB 外付けデバイスとして利用できるような拡張が予定されているとのこと。 また、neat 社の今後の製品ラインアップに Zoom Meeting 向けの (個人向けの) 製品も登場する予定だそう。 ** コメント [#p184b0b2] #comment アクセス数: 現在: &online;, 今日: &counter(today);, 合計: &counter(total);