教員向け/Zoom による講義ビデオ (MP4ファイル) 作成

はじめに

このページでは、クラウド上のビデオ会議サービスである Zoom のアプリ (のみ) を 利用して、講義ビデオ (MP4 ファイル形式) を作成する方法の概要と、 Zoom によって作成される MP4 ファイルの特徴を説明します。 また、Zoom が生成する MP4 ファイルを再エンコーディングすることで、 (解像度・フレームレートは落ちますが) ファイルサイズを 1/5 程度まで削減できることを説明します。

Zoom によって収録した講義ビデオのサンプル

Zoom による講義ビデオの収録のポイントを説明したビデオを作成しました (この ビデオそのものが Zoom の録画機能を使って収録したものです)。Zoom が出力した MP4 ファイルそのままで、一切手を加えていません。 6:23 のビデオで、ファイルサイズは約 22 M バイトです。

Zoom で講義ビデオを収録する場合の (特に、PowerPoint から生成する場合と比較した 時の) 利点は、

  1. 資料の形式は何でもよい (PDF ファイルでも、Excel ファイルでも、Web ページでも何でも良い)
  2. Zoom の仮想背景が使える (自宅等で収録する時に、背景を消すことができる)
  3. Office のライセンスを持っていなくても無料でできる
  4. マルチプラットフォームでできる (Android や iOS/iPadOS でも同じようにできる)
  5. カメラ/画面/ホワイトボードを切り替えられる (講義資料の形態によって切り替えられる)
  6. デスクトップ上に書き込み (アノテーション) ができる (アプリの使い方を教えるような時に便利)
  7. ビデオ・オーディオのビットレートが適度に低い (むやみに大きい MP4 ファイルにならない)

あたりかと思います。逆に Zoom の欠点は、

  1. 最初から最後までノンストップで収録しないといけない (一時停止のみ可。PowerPoint はスライドごとに何度でもやり直しができる。Zoom で一部やり直すにはビデオ編集アプリで差し替えないとダメ。)
  2. ペンタブレットの筆圧が取れない (ホワイトボード等で線は描けるが、強弱がつけられない)

あたりかと思います。

参考: Zoom が生成する MP4 ファイルの仕様

Zoom によって生成された MP4 ファイルの解像度・コーデック・フレームレート・ ビットレートを見てみましょう。

 > ffprobe recording-with-zoom.mp4
 ffprobe version 4.1.4-1~deb10u1 Copyright (c) 2007-2019 the FFmpeg developers
   built with gcc 8 (Debian 8.3.0-6)
   configuration: --prefix=/usr --extra-version='1~deb10u1' --toolchain=hardened --libdir=/usr/lib/x86_64-linux-gnu --incdir=/usr/include/x86_64-linux-gnu --arch=amd64 --enable-gpl --disable-stripping --enable-avresample --disable-filter=resample --enable-avisynth --enable-gnutls --enable-ladspa --enable-libaom --enable-libass --enable-libbluray --enable-libbs2b --enable-libcaca --enable-libcdio --enable-libcodec2 --enable-libflite --enable-libfontconfig --enable-libfreetype --enable-libfribidi --enable-libgme --enable-libgsm --enable-libjack --enable-libmp3lame --enable-libmysofa --enable-libopenjpeg --enable-libopenmpt --enable-libopus --enable-libpulse --enable-librsvg --enable-librubberband --enable-libshine --enable-libsnappy --enable-libsoxr --enable-libspeex --enable-libssh --enable-libtheora --enable-libtwolame --enable-libvidstab --enable-libvorbis --enable-libvpx --enable-libwavpack --enable-libwebp --enable-libx265 --enable-libxml2 --enable-libxvid --enable-libzmq --enable-libzvbi --enable-lv2 --enable-omx --enable-openal --enable-opengl --enable-sdl2 --enable-libdc1394 --enable-libdrm --enable-libiec61883 --enable-chromaprint --enable-frei0r --enable-libx264 --enable-shared
   libavutil      56. 22.100 / 56. 22.100
   libavcodec     58. 35.100 / 58. 35.100
   libavformat    58. 20.100 / 58. 20.100
   libavdevice    58.  5.100 / 58.  5.100
   libavfilter     7. 40.101 /  7. 40.101
   libavresample   4.  0.  0 /  4.  0.  0
   libswscale      5.  3.100 /  5.  3.100
   libswresample   3.  3.100 /  3.  3.100
   libpostproc    55.  3.100 / 55.  3.100
 Input #0, mov,mp4,m4a,3gp,3g2,mj2, from 'recording-with-zoom.mp4':
   Metadata:
     major_brand     : mp42
     minor_version   : 0
     compatible_brands: isommp42
     creation_time   : 2020-04-16T07:26:37.000000Z
   Duration: 00:06:23.20, start: 0.000000, bitrate: 467 kb/s
     Stream #0:0(und): Audio: aac (LC) (mp4a / 0x6134706D), 32000 Hz, mono, fltp, 53 kb/s (default)
     Metadata:
       creation_time   : 2020-04-16T07:26:37.000000Z
       handler_name    : AAC audio
     Stream #0:1(und): Video: h264 (High) (avc1 / 0x31637661), yuv420p, 1920x1080, 411 kb/s, 25 fps, 25 tbr, 30k tbn, 60k tbc (default)
     Metadata:
       creation_time   : 2020-04-16T07:26:37.000000Z
       handler_name    : H.264/AVC video
       encoder         : AVC Coding

ビデオのコーデックは H.264 で、解像度は 1920x1080 ピクセルフレームレートが 25 フレーム/秒であることがわかります。 ビデオのビットレートは 411 Kbit/s (一秒間に 411 Kビット = 約 55 Kバイト) です。

オーディオのコーデックは AAC で、 サンプリングレートは 32 のモノラル (1 チャネル) です。 音声のビットレートは 53 Kbit/s です。

PowerPoint が生成する 1080p の MP4 ファイルと比較すると、 ファイルサイズは約 1/6 と非常に小さくなっています。 ただしこれは、PowerPoint の MP4 ファイルをエクスポートする機能の質が悪い、 という意味ではなく、 「 PowerPoint は比較的高品質な MP4 ファイルを生成する (だからファイルサイズが 大きい) 」が、「 Zoom 比較的低品質な MP4 ファイルを生成する (だから ファイルサイズが小さい) 」ことを意味します。 同じ H.264 コーデックでも、 コーディング時のパラメータによって、 高品質・大容量から低品質・小容量まで、 かなり幅のあるビデオが生成されます。

参考: Zoom が生成する MP4 ファイルのサイズ削減

ビデオのコーデックは H.264 で、 オーディオのコーデックが AAC というのは妥当かと思います。 ただし、講義ビデオであれば、 (講義ビデオの内容によりますが) 解像度をもっと下げてもよいでしょうし、 25 フレーム / 秒も必要ありません。 オーディオのサンプリングレートももう少し下げても良いでしょう。

ビデオの解像度を 720p (1280x720) または 480p (852x480) に下げ、 フレームレートを 10 フレーム / 秒、 オーディオのサンプリングレートを 11kHz にして再エンコーディングします。

 > ffmpeg -i recording-with-zoom.mp4 -s 1280x720 -r 10 -ar 11025 recording-with-zoom-720p-10.mp4
 > ffmpeg -i recording-with-zoom.mp4 -s 852x480 -r 10 -ar 11025 recording-with-zoom-480p-10.mp4

ファイルサイズは、720p (10 フレーム / 秒) で元のファイルの約 1/3、 480p (10 フレーム / 秒) で元のファイルの約 1/4.5 になっています。

さらにビデオのフレームレートを 3 フレーム/秒まで下げて再エンコーディングしてみます。

 > ffmpeg -i recording-with-zoom.mp4 -s 1280x720 -r 3 -ar 11025 recording-with-zoom-720p-3.mp4
 > ffmpeg -i recording-with-zoom.mp4 -s 852x480 -r 3 -ar 11025 recording-with-zoom-480p-3.mp4

ファイルサイズは、720p (3 フレーム / 秒) で元のファイルの約 1/3.6、 480p (3 フレーム / 秒) で元のファイルの約 1/5.3 になっています。

ビデオの解像度を 360p (480x360)、240p (352x240) まで下げると、さらにファイルサ イズは小さくできます。

 > ffmpeg -i recording-with-zoom.mp4 -s 480x360 -r 3 -ar 11025 recording-with-zoom-360p-3.mp4
 > ffmpeg -i recording-with-zoom.mp4 -s 352x240 -r 3 -ar 11025 recording-with-zoom-240p-3.mp4

ただし、360p や 240p だとスライドも文字を読みづらくなります。 360p だとギリギリ読めて、 240p だと小さな文字は判別するのが難しくなります。 (スライドの内容にもよりますが) 480p あたりが、 ビデオの品質とファイルサイズのトレードオフとしては良い選択のように思います。

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Last-modified: 2020-05-25 (月) 20:20:04